Joruri CMS 開発の沿革

公開日 2020年08月31日

更新日 2024年10月04日

初期Joruri CMSの開発

徳島県公式ホームページ再構築

2008年4月に徳島県公式ホームページの再構築業務のプロポーザルが公開されました。
当時ロータスノーツで構築していたホームページを全面的に再構築する業務です。
プロポーザルには公式ホームページ用のCMSの開発およびホームページの枠組みの作成が含まれていました。
既存データの移行作業は別途翌年度の案件となっていましたが、1年以内にCMSを開発しその上にサイトを構築するという難易度の高い業務でした。

島根県CMSを利用する要件

プロポーザルの要件として、上記のような自治体向けCMSとして必要な機能が含まれており、さらにオープンソースソフトウェアとして公開されていた島根県CMSを流用して開発することという条件が記載されていました。
島根県CMSの仕様を調査したところ、当時の島根県CMSは自治体向けCMSとして必要な機能をすべて備えていたわけではなく、かなりの機能を追加で開発する必要がありました。

オープンソース公開の要件

さらにプロポーザルには、開発したCMSをオープンソースソフトウェアとして公開することという要件も記載されていました。
当時はオープンソースソフトウェアを利用するだけの立場であり、オープンソースとしてソフトウエアを公開することとは具体的にどのようなことかもよくわからない状況でした。

ロータスノーツによるホームページの保守

当社は創業間もない2003年に、ロータスノーツで構築されたいたホームページをリニューアルする業務を受注しており、以後徳島県ホームページの保守を続けていました。
県レベルの規模のホームページの運用保守は、当社としてはきわめて有意義な業務経験であり、引き続き業務を続けたいと考えていました。
また2005年にブログシステムを自社開発した実績があり、次に本格的なCMSを開発するための調査研究を行っていました。
このような背景から徳島県ホームページの再構築はぜひ受注したい業務でした。

再構築業務の受注

納期と予算が厳しい案件でしたが、機能を要求されている最小限にとどめ、CMS自身の開発費はすべて当社負担として提案しました。
徳島県様での提案書の審査およびプレゼンを経て、2008年6月に当社が受注することが決まり、翌年3月末の納期に向けての開発をスタートしました。

CMSの開発をスタート

CMS本体の開発はシステム設計者1名とプログラマー1名の2名で進め、CMSがほぼ完成した時点でサイト構築のため、数名のWebクリエイターに参加してもらいました。
なんとか納期の3月末までにCMSおよびサイトを構築することができ、翌年度のデータ移行業務に移ることができました。

島根県CMSの利用を断念

開発の過程で、島根県CMSのソースコードを緻密に分析したところ、徳島県様の要求仕様を実現するためには大幅な追加開発となることがわかりました。
このため島根県CMSのソースコードの流用を諦め、島根県CMSが利用していたプログラミング言語Ruby、MVCフレームワークのRuby on Rails(以下Rails)などの環境はそのまま踏襲し、ゼロからCMSを開発することとしました。

開発言語をPHPからRubyに移行

当時当社はPHPを利用してWebシステムを開発しており、Ruby言語の利用は初めてでしたが、このタイミングで開発言語をPHPからRubyに変更し、その後のシステム開発はすべてRuby/Railsの環境で行うこととしました。

開発したCMSをJoruriと命名

開発したCMSは、徳島県様により「Joruri(ジョールリ)」と命名され、2009年7月の知事記者会見で発表されました。
プログラムのソースコードは、2010年3月23日にJoruri公式サイト(https://joruri.org/)にて公開しました。
この日は当社の創立10周年の日でしたが、ソースコードの公開作業に追われ、何のイベントもなくその日を終えました。

Joruriの意味

Joruriの名前は、Japan Originated Ruby-based RESTful and Integrated CMSの頭文字からつけました。
日本で開発された、Ruby言語を使った、RESTの考えに従った、統合的なCMSという意味です。

人形浄瑠璃の三人遣いのように、ホームページを後ろで支えるという意味を込めています。
Joruriの名称は、次のロゴで商標登録(登録5304048号)を行っています。

Joruriロゴ

Joruri CMS の普及

Joruri CMS はオープンソース(GPL v3)で無償で配布したことや、そのまま使える自治体ホームページのひな形データを添付していたことから、多数の自治体様でご利用いただきました。
公開後10年が経過した今でも、多くの自治体公式ホームページでご利用いただいています。

ZOMEKI開発の背景

自治体サイト再構築プロポーザルへの対応

初期型のJoruri CMS Ver.1は、2010年3月にオープンソースソフトウェアとして公開後、順次多数の自治体公式サイトに導入されていました。
当社(当時は株式会社アイ・ディ・エス)としても積極的に自治体サイトへの導入を行うために、子会社のサイトブリッジ社を東京都三鷹市に移し、自治体公式サイトの再構築プロポーザルに参加しました。

各種の自治体公式サイト再構築のプロポーザルに参加する際、機能要件について初期型のJoruri CMSでは対応できない項目が機能あり、案件ごとの追加開発が多数発生していました。
案件ごとの追加開発がある場合、開発後でないとその機能をサイト構築に利用できないため、開発リスクが高まり開発期間も長期化します。
標準の機能でプロポーザルに対応できるのが理想的ですが、そのためには大幅な機能追加や変更を行うこととなります。

Joruri CMSの機能を追加・変更すると、既存の管理画面とは異なる画面仕様となり、そのような改良版を同じ名称で公開するとユーザーが混乱します。
このため東京のサイトブリッジ株式会社で開発するJoruri CMSの派生バージョンには、ZOMEKIという別の名前をつけることとしました。

ZOMEKIの誕生

ZOMEKIは、Joruri CMSのソースコードから分岐して開発を進め、2012年8月1日にオープンソースソフトウェア(GNU GPL V3)として公開しました。
プログラムの開発は埼玉県在住のプログラマーの方にお願いし、旧サイトブリッジ社(東京都三鷹市)のみで製品化を行いました。

ZOMEKIの普及

ZOMEKIの開発は、Joruri CMSのいろいろな制約をなくす改良を持続的に行ったため、管理画面の設定でCMSの挙動をいろいろ変更できるようになりました。
プロポーザルの機能要件に対しても、管理画面の設定変更のみで対応できるようになり、追加の機能開発は大幅に減りました。
この結果、ZOMEKIが導入される自治体サイトも増え、現在でも15自治体の公式サイトで稼働しています。

議会サイト用クラウドサービス(NTT アドバンステクノロジ様)

■ 議会ホームページ用CMS DiscussWeb
https://www.ntt-at.co.jp/product/discussweb/

NTT-AT様ではZOMEKIを議会サイト用にクラウドサービスとして提供されています。
当時はJoruri CMSよりZOMEKIの方が機能が豊富であり、カスタマイズが行いやすい構造であったため、ZOMEKIをベースに開発しました。

現在の改良型Joruri CMSもZOMEKIのソースコードをスナップショットで切り出して作成しているため、最新のソースコードはZOMEKIとなります。
CMS全体をカスタマイズする場合は、ZOMEKIのソースコードをベースに開発を行います。

三鷹地区でのコミュニティ活動

ZOMEKIは三鷹市で開発しため、子育てサイトなど自治体公式サイト以外のサイトにも多数導入されています。
これらのサイトは三鷹などのWebクリエイターの方が構築したものです。
当社は旧サイトブリッジ社を三鷹に設立して以降、三鷹地区のWebクリエイターの方と定期的な情報交換の会合を持っています。

開発の内製化

経営全体の効率化のため、2015年7月に旧サイトブリッジ社の業務をアイ・ディ・エス社に引き継ぎ、アイ・ディ・エス社の社名をサイトブリッジ株式会社に変更しました。
これに伴いZOMEKIのプログラム開発を新サイトブリッジ社(旧アイ・ディ・エス社)のメンバーが行う内製に切り替えました。
新サイトブリッジ社のメンバーが開発したZOMEKIは、2016年10月27日にバージョン3としてリリースしました。
現在最新のバージョンは、このバージョン3です。

改良型Joruri CMSの登場

初期型Joruri CMSの更新

各地の自治体サイトに導入された初期型Joruri CMSは、次々と更新の時期に迎えており、当社としては新しいJoruri CMSを提案しなければならない状況となっていました。
Joruri CMSはRubyやRailsのバージョンアップに対応してバージョン3となっていましたが、基本的な機能はバージョン1とほとんど同じでした。
Joruri CMS バージョン3ではロポーザルの要件に十分対応できません。

Joruri CMS 2017のリリース

そこでZOMEKIの管理画面をJoruri CMS風に変更し、Joruri CMS 2017としてリリースすることとしました。
初期型Joruri CMSの開発は必要最小限に縮小し、メインの開発ラインにZOMEKIに切り替えました。

Joruri CMSとZOMEKIの位置づけ

このときからZOMEKIが先行開発バージョン、Joruri CMS が安定バージョンという位置づけとなりました。
安定バージョンとは仕様があまり変わらないという意味で、マイナーバージョンアップは年に数回程度としました。

それに対してZOMEKIは、毎週改善バージョンを公開するというペースで開発を進めました。
最新の機能を利用したい場合は、ZOMEKIを導入するという使い分けを行いました。

Joruri CMS 2020の開発

Joruri CMS 2020の開発は、Joruri CMS 2017をベースに行いました。
Joruri CMS 2020の開発からはZOMEKIをベースとせず、Joruri CMS の旧バージョンをベースとすることに変更しました。

ZOMEKIは民間企業サイトを想定したZOMEKIクラウドでの提供に特化して周辺システムの整備を進めることとしました。

 

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