オープンソースである理由

公開日 2025年03月26日

更新日 2025年03月27日

オープンソース・ライセンスとは

ソフトウェアのライセンスは、入手したソフトウェアをどのような規約で利用できるかという取り決めです。
一般に商用ライセンスでは、入手したソフトウェアをコピーして配布することや、内部構造を解析することが禁止されています。
それに対して、オープンソース・ライセンスでは、ソフトウェアの複製・改良・再配布を自由に行えます。

大半のオープンソース・ソフトウェアは、コミュニティで開発されて配布されていますが、ソフトウェアの開発会社が、商用ライセンスと同様の方法で開発したソフトウェアをオープンソースライセンスで提供することがあります。
このためオープンソース・ライセンスであることと、ソフトウェアの機能や品質は本来は無関係です。

オープンソース・ライセンスについての誤解

オープンソースのソフトウェアは、どこのだれが作ったかわからないものなので保証がなく、利用すると危ないと誤解している方がいます。
確かに開発しているコミュニティの活動が停滞して、ソフトウェアの開発が止まることもあります。
しかし、一般によく利用されているオープンソース・ソフトウェアは、開発や稼働の実績が十分あり、重大な変更には対応する猶予が設けられます。

CMSのようなWebシステムを構築する際、Webサーバー、データベース、プログラミング言語、アプリケーションフレームワークなどはすべてオープンソース・ソフトウェアです。
オープンソース・ソフトウェアなしには、Webシステムを構築するのは困難です。

オープンソース・ソフトウェアを利用しない場合、マイクロソフトとオラクルのプロダクトを利用することとなり、かなり高額のライセンス費が必要となります。
これらのプロダクトでシステムを構築した場合、技術情報があまり公開されていないため、障害対応やパフォーマンス改善の情報が入手しにくいという問題があります。

プロポーザルのオープンソース禁止への対応

以前、自治体公式サイトのプロポーザルにて、CMS機能一覧に「広く一般にソースコードが公開されているオープンソースCMSではないこと。」という要求仕様が記載されていました。
この件について、2022年に公正取引委員会が「情報セキュリティ対策からオープンソース・ソフトウェアではないCMSとしなければならない理由はない」という判断を行い、現在この問題は解消されています。

サイトブリッジ社としては、この件に対応するため、JoruriCMS2020のソースコードをGitHubのプライベートリポジトリに移動し非公開としました。
またソースコードの無償配布をやめて、配布手数料をいただくようにしました。

これによりJoruriCMS2020は、「広く一般にソースコードが公開されていないオープンソースCMS」となりました。  ←公開されていない を太字にする。
配布手数料を支払ったユーザーだけがソースコードを入手できるCMSとし、弊社としてはソースコードを不特定多数に公開しないようにしました。

オープンソース・ソフトウェアでありながら、ソースコードが非公開で、配布を有償としているのはこのような経緯からです。

この件の詳細は、次のページをご参照ください。
公正取引委員会サイト
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2022/jun/220630daiichi/220630.html

オープンソース・ライセンスのメリット

CMSのライセンスがオープンソースである場合、自治体様には次のメリットがあります。

  • ソースコードが公開されていため、CMSの導入業務を広く多くのベンダーに打診できます。
  • 導入後の運用保守業務を入札などにより、導入したベンダー以外のベンダーに委託することができます。
  • CMS関連で問題が発生した場合、ソースコードを開示し、問題に関係するベンダーに原因調査や再現テストなどを委託できます。
  • CMSを更新する際のデータ移行の作業をCMSの開発ベンダー依存しなくても行うことができます。


CMSのライセンスが商用ライセンスである場合、次のような問題が発生する可能性があります。

  • サイト構築の際の開発用CMSにもライセンスが必要となることがあります。
  • CMSにサイトを追加する際、サイト数やユーザー数に制限に抵触するかもしれません。
  • CMSをリプレースする際、データベースの構造が非公開であるため、他のシステムにデータを移行することが難しい場合があります。

オープンソース・ソフトウェアとして公開した経緯

初期Joruri CMS受注時の要求仕様

2008年に初期のJoruri CMSの開発を受注した際、徳島県様の仕様書に「開発後にオープンソースとして公開すること。」という要求仕様が記載されていました。
このため、Joruri CMSを開発し、徳島県ホームページをリニューアルしたあと、2010年3月23日にJoruri CMSをオープンソースソフトウェアとして公開しました。

徳島県様が参考にした島根県CMSがGPL v2であったことから、ライセンスはGPLとしバージョンは最新のv3としました。
島根県CMSのソースコードを全く流用していないため、Joruri CMSのライセンスはGPLのバージョンを変更できました。

MITライセンスへの変更

Joruri CMS 2017をZOMEKIベースの改良型としてリリースする際、オープンソースのライセンスをより制約が少ないMITに変更しました。

GPLライセンスではCMSに追加したプログラムもGPLライセンスが適用されるため、ベンダー様が機能追加したバージョンを有償で再配布しにくい問題がありました。
MITライセンスにはそのような制約がないため、Joruri CMS を独自に改良し販売することが可能となりました。

オープンソース・ソフトウェアとして提供し続ける理由

Joruri CMS 2020は、ライセンスとしてオープンソースを選択していますが、商用ライセンスのプロダクトと同様の開発体制で開発しています。
開発に携わっている開発者は全員サイトブリッジ社の社員であり、GitHubのソースコードは社外には公開していません。

このためいつでも商用ライセンスに変更することも可能ですが、オープンソース・ソフトウェアとして提供し続けるのは次の理由からです。

初期Joruri CMSの開発時の多くの方々への感謝

徳島県様が独自にCMSを開発しオープンソースとして公開することを構想されたのは、先行して島根県CMSが存在したためです。
島根県CMSは、島根県様から開発を委託された、ネットワーク応用通信研究所様(島根県松江市)が開発し、オープンソースCMSとして公開したものです。

このような先行事例があったため、徳島県様がCMSを独自に開発するという判断になったと思われます。
プロポーザルの結果、弊社が受注し、Joruri CMSを開発する機会を得ることができました。

Joruri CMS公開後も、自治体様からの問合せへの対応などのご支援をいただきました。
徳島県様のご協力無しにはここまで自治体関係に普及することはなかったでしょう。

また神戸市様のご厚意により、2010年3月に開催されたオープンソースカンファレンス神戸(OSC神戸)に地元枠で参加させていだだきました。
OSC神戸では、オープンソース公開直前のベストのタイミングで多くの方々にPRすることができました。

その後オープンソースカンファレンスには50回以上参加し、ユーザー様へのPRやCMS関係者との有益な情報交換が行えています。
オープンソースカンファレンスを運営されている株式会社びぎねっとのスタッフの方々には、出展にあたりいろいろとお世話になっています。

Joruri CMSがオープンソースのプロダクトであったため、オープンソースカンファレンスに出展することができました。
Joruri CMSがオープンソース・ソフトウェアでなければ、このようにいろいろな方々と関係を築くことができませんでした。

オープンソース・コミュニティへの貢献

Webシステムを構築するには、CMS以外にWebサーバー、データベース、負荷分散など多くのソフトウェアが必要です。
これらのソフトウェアはすべてオープンソース・ソフトウェアです。

Joruri CMSを開発しているプログラミング言語であるRubyもオープンソースでです。
ネットワーク応用通信研究所に勤務されているまつもとゆきひろ氏が中心になって開発を進めています。

Joruri CMSのプログラムの土台となっているWebアプリケーションフレームワークのRuby on Railsもオープンソースです。
アメリカ・シカゴのベースキャンプ社のデイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン氏を中心とするコアチームにより、Ruby言語で開発されています。

弊社では国産プログラミング言語のRubyの普及に貢献したいと考えています。
まつもとゆきひろ氏が理事長を務めるRubyアソシエーションの協賛会員となっています。

また毎年まちづくり三鷹様らが開催している「中高生国際Rubyプログラミングコンテスト」を協賛しています。

JoruriCMS2020など、Rubyで開発したプロダクトを普及させることにより、Rubyに興味を持つ方が増えることを期待しています。

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